2016年06月23日
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漫画のススメ

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漫画

(引用元:ブラックジャックによろしく第1巻 p.7)

漫画

漫画はいいものだと思うんです。

漫画、それは人生そのもの。ノーマンガノーライフ…。

「そうだそうだ!」という声が聞こえますね。そうです。漫画はいいものなんです。

でも僕、最近思いました。「そうは言うけどさ、漫画の何がいいの…」「漫画って何が面白いの???」

……

漫画のオススメ記事を書きたかったんですけどね…よくわからないですね…。

何がいいんでしょうね、何が面白いんでしょうね???

僕は自分の好きなものをオススメしていきたい。にも拘わらず、今の僕は漫画について「どこがいいの?」と聞かれたら答えられないときています。

物語を読むというのであれば小説でもいいのではないか、と言われてしまうと、何と答えてよいか困ってしまいます。小説ではなく、漫画であったほうがよい理由が漠然とあるのですが…。

そんなわけで、今回は漫画が優れている点は何かについてキッチリと考察し、オススメできる理由を探ります。他の表現媒体を批判するのではなく、それぞれの差を紹介する意図で書いています。ご了承ください。

漫画と小説の違い

この2つはどちらも、表現方法の一種です。

2つの間にある明確な違いの一つは、絵の有無です。そりゃそうだ。

小説は文字によって物語を表現します。その一方で、漫画は文字だけではなく絵を用いて物語を表現します。漫画ではもともと限られているページのスペースの一部を絵に割くため、文章量は小説より少なくなりますが、風景や登場人物の容貌、その時々の表情などを鮮明に表現することが可能です。そのため、漫画は総合芸術的なものであると言えるのではないでしょうか。

ところで、漫画と小説だと、読む年齢層に差があるように感じませんか?

偏見もありますが、小説の方が大衆向けであるのに対し、漫画は若い人により多く受け入れられているような印象を持っています。これはなぜでしょうか。

以下では、この理由について考察していきたいと思います。

小説はムズカシイ!

文章は本来、情報の伝達を目的としているものです。

例えば、「僕は家を出てすぐに走り出した。」ということを伝えたいのに「メロンパン味の刺身!」と書いても、まったく伝わりませんね。もしそのような書き方をすれば読者は混乱するでしょう。どうしてもそう書きたければ、その前の段階で「メロンパン味の刺身は、以下、僕は家を出てすぐに走り出したことを意味する」と定義しておかなくてはいけません。当然、そんな面倒なことをする人はいません。よって、「僕は家を出てすぐに走り出した。」ということを表現するには「僕は家を出てすぐに走り出した。」以外の書き方はないし、これで充分です。もしそれ以外の条件があるならば、それはそれで書くこととなるでしょう。

しかしその一方で、正しい表現とは往々にして陳腐化するものです。したがって、小説では工夫を加える必要があります。事実を述べるだけにとどまらず、あえて書かない情報を決めたり、あえて少しだけ変わった、歪曲したとも、遠回しであるとも、誤りであるともとれるような表現を選ぶことが多いのです。そのような創意工夫によって出来上がる文章は、ただの報告ではなく、表現として昇華し、小説となります。

つまり、文章は読み取るのが本来は簡単であるべきものですが、事実を書くだけでは面白いものが作れないので、面白い小説は独特な表現で書かれることになります。そしてその表現を理解するためには学がなくてはいけません。結果的に多くの小説は難しい文章になってしまいます。

漫画は優秀な表現方法

漫画は、絵の部分によって、多岐に渡る表現を行うことが可能です。

例えば、家を出てすぐに走り出した少年の絵に加えて、少年が「メロンパン味の刺身ィ!!!」と叫んでいたとしても、読者は少年が家を出て走り出したことは明白に分かります。この少年が真剣な表情で、必死に走りながらそれを言っているのならば、読者はこの漫画の世界には本当に「メロンパン味の刺身」が実在していて、それを少年が真剣に追い求めているんだ、ということが説明できるでしょう。逆にそのコマにツッコみのセリフが入っていたり、意味が解らずに困惑する通りすがりの人が描かれていたりすれば、それは「シュールなギャグ」であるということが分かります。同じセリフと表情による微細な違いを表現するのに漫画は適しています。

非常にシュールな例を選んでしまった感が否めませんが、この差は馬鹿になりません。

漫画は小説よりも、「すべての事を説明しきらずに表現する」という点において非常に優れた媒体なのではないかと思います。絵は表現が直接的なものなので、「この場面ではこういうことが起こっている」ということを直感的に理解できます。

日常生活でも唐突に変なことを言う人がいます。それが真面目に言っているものなのか、ジョークなのかはその言葉だけからは分かりません。そこに加えてその人がどんな場面でそれを口にしているか、どんな表情かによって判断をします。例えば2時間運動をした後の「おなかがすいたなぁ」と、焼肉食べ放題へ行ってその帰り道で言う「おなかがすいたなぁ」では、その言葉が示す意図が違います。もちろん2つ目がジョークです。本気で言っているならそれは力士か天然です。

また、表現方法が多彩です。先ほどの文章の話でも取り上げた「僕は家を出てすぐに走り出した。」を例にあげますが、その時天気はどうなのか、家の形状はどうなっているのか、時間は、親は怒っているのか、心配しているのか、少年は焦っているのか、靴紐はきっちり結んでいるのか。どんなに多くの情報があったとしても、描き切れる限り1コマに収めることができます。1つの場面に複数の意味を持たせることができるのは、漫画の優秀な点です。

しかも、読者はその情報のすべてを読み取る必要はありません。シーンの概要を理解できれば、次へ進んでしまってもいいのです。深く読み取ることもできれば、ペラペラとめくることもできます。読み手を選ばないのが、漫画の最大の特徴の一つであるといっても過言ではありません。

これらの「理解がしやすい」「情報を読み取る手間が少ない」という2点が、若い人に漫画がウケるという結果につながるのだと僕は思いました。

これから僕は漫画を人に薦めるならば、漫画の「理解がしやすい上に奥が深い文学作品」という一面を持っていることを強調するでしょう。漫画を読み解くことは文学作品を理解することの入口として相応しいものだと思います。

おわりに

僕は落穂拾いを描いたミレーが何を思ってそれを描いたのかわかりませんし、ロダンの「考える人」が何を考えてる人を想定した像なのかなんて、もっとわかりません。しかし、あれらを作り出すのにはとてつもない労力がかかっているに違いなく、そのようなアート作品の奥に、どんな作者の意図や考えがあったのか。それについて想像するのは、とても面白いことだと思います。

漫画は文学ですが、同時にアートでもあります。作者によって作り上げられた世界の人々が何を考え、何を話し、何を話さないのか。その奥にあるものを想像することは、考える力を身に着けることに繋がると思います。

これは漫画に限ったことではないのであえて触れませんでしたが、文学作品は感動を与えてくれます。また機会があれば、僕が感動した漫画のレビュー記事かなんかも書けたらなと思いますので、どうかよろしくお願いします。

それでは失礼します。

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